院長ブログ

あきた耳鼻咽喉科クリニック_院長ブログ

反回神経麻痺と声がすれ

反回神経麻痺による声がすれ(嗄声)は良くあります。今回はまじめなお話で食べ物は出てきません。でも少し役に立つお話なので折角なので読んでみてください。

声帯の動きを支配する反回神経という神経は脳から直接出て、首を通り、胸まで行ってからまた首に戻ってきて(反回して)声帯を動かします。(詳しくは解剖学を調べてくださいね。)そんな面倒な走行をするので、この神経が悪くなって声帯が動かなくなると検査するのが少しばかり大変です。

耳鼻咽喉科の診察では嗄声はとても良くあります。嗄声の原因を調べるのに鼻の穴から内視鏡ファイバースコープ)を入れてのどを観察します。当院では4本の内視鏡を駆使して、その場ですぐに無麻酔で簡単に検査してしまいます。

そして嗄声の原因として反回神経麻痺があって、治療して経過を見ても治らない時にはさらにその反回神経が何故、どこでダメージを受けているのかを調べます。原因が分からないことも現実にはありますが、比較的多く見つかるのは怖いけど肺がんなど胸の悪性腫瘍です。

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先日も、数年前に反回神経麻痺による嗄声の原因となっていた肺がんを見つけて内科に紹介した方が元気に受診され(病院を受診しにいらっしゃったので厳密には元気ではないのですけど)、「お陰様で元気にしています。その節はありがとうございました。」と報告してくださいました。

病気になられた方全員がこの方のように治るわけではございません。開業してからは大学病院に勤めていた時ほどダイナミックな毎日を過ごしていないので、がんを見つけた方が元気になられてお顔を見せてくださった時は密かにガッツポーズをしたいほど開業医冥利に尽きます。

何を言いたいのかというと、声がすれが治りにくい時には早めに耳鼻咽喉科を受診し、のどの検査を受けてくださいね。意外にもその原因がのど以外にあって、それが万が一悪いものでも早く見つけて治療すれば治る可能性は十分にありますよ。ということです。

*写真のお花は6月の花の日に、近くの保育園のお友達からいただいたものです。今もクリニックの郵便受けの上で元気に綺麗に咲いています。いつもありがとうございます。