院長ブログ

あきた耳鼻咽喉科クリニック_院長ブログ

口腔癌や舌癌は何科で治療するのか?

最近タレントの堀ちえみさんの口腔癌が話題となっていますが、ニュースなどを見ているとすごく違和感を感じます。それは口腔癌や舌癌は歯科が扱う病気であるかのように報道されているからです。これは明らかに間違っています。舌癌はもとより口腔癌の多くは耳鼻咽喉科がメインで治療を行う病気なのです。

以前より医師でない歯科医師が舌癌や口腔癌、唾液腺の病気の治療を行うことなどが問題視されていました。それにはいろいろな理由がありますが、癌の治療には全身の管理が必要なことや特に舌癌・口腔癌の場合には頚部リンパ節への転移が多いため、頚部の手術なども行うことが多いことなどがあげられます。

また平成8年に当時の厚生省を含めて「歯科口腔外科に関する検討会」が開催され、『歯科口腔外科の診療の対象は口腔における歯科疾患が対象になるが、特に、悪性腫瘍の治療、口腔領域以外の組織を用いた口腔の部分への移植、その他治療上全身的管理を要する患者の治療に当たっては、治療に当たる歯科医師は適切に医師と連携をとる必要がある。』と意見がまとめられています。

私たち耳鼻咽喉科専門医は口腔癌や舌癌をはじめ、咽頭癌や喉頭癌、上顎癌、唾液腺癌、耳の癌などを見落とさないような教育やトレーニングを受けています。もちろんその治療方法も。歯科医師が行ってはならない医療行為や扱ってはならない身体の部位があるのです。

難しいことを書いてきましたが、一番大事なことは病気になられた患者さんを助けることなので、どこの科で治療を受けてもいいのです。それが最良の治療ならば。でも本来は法に触れるかもしれないような治療がマスコミを通じて広まっていくことを危惧しています。

なので、口内炎の治療や口腔癌、特に舌癌が心配な方は耳鼻咽喉科を受診してくださいね。もちろん歯科を受診した方が良い場合にはそのように勧めますから。